material surface

Written by yun

雨水で溶かされた石膏
硬化し変色した生ゴム
日差しで黄色く色褪せたフィルム
紫外線で褪せたインクの痕跡
ちりちりと乾燥してゆく花弁

好ましいそれらは どれも[旅をするマテリアル]だ わたしにとって

よく思い出す
ウェールズでの制作は
工場で作れる最大幅の生ゴムのシートを用意してくれるということに
日本国内では生産していない幅だったから期待が大きかった
それをマーキュロクロムで塗込めて
天窓からの自然光の下に展示をする計画だった
その塗る作業のために養生をされたギャラリースペースの床に
運ばれてきたシートを広げると凪の海面のようだった
うまれたばかりの海

シートのエッジの様子 裏と表の質感の違い
床に接触して透けている様子
どれも好ましく ウツクシイマテリアルそのもの

なにもしないことだと このマテリアルに自分ができることは

瞬間にそう思った 計画を変えてなにもしないままのシートを
天窓の下に吊るした

こうした モノと出会う瞬間の幸福感と
それが変化してゆくのを視る 感じる 記憶してゆく愉悦

ウツクシイ物質に対して礼儀正しくありたい